「野鴨たれ」
野鴨の話を知っていますか?
デンマークのジーランド地方の古城を映す湖には毎年鴨が飛んでくる。
そこには餌をいつも用意して待っていた老人がいた。
いつしか鴨たちは食べ物に恵まれて次の湖へ飛び立つ必要がないと思い、そこに住み着いてしまった。
しかしある年、その老人が死んだ。
餌をもらえない鴨たちは、自分で餌をさがし、次の湖へ飛び立たねばならない。
しかし飛べない。
なぜなら、野生を無くしてしまった鴨たちは、まるでアヒルのように肥え、
はばたいても飛べなくなっていたのだ。
あの何千キロにもわたって飛べる鴨が…
そして、そのとき、春の雪解けの濁流が湖に流れこんできた。
なすすべもなく押しながされてしまった鴨たちは全部死に絶えてしまった。
これが実存哲学者のキェルケゴールの
「野鴨の教え」だ。
流れない水は腐る、という言葉があるが、水でさえ、淀(よど)むと腐る
餌をとる努力や緊張感があるから鴨は鴨でいられる。
我々も、ぬくぬくとした生活に慣れ、野生を失ったら、あっというまに濁流に飲み込まれ死に絶える。
色々な、試練も、困難もあるからこそ真剣になり、流されずいられる。
野生をなくしてしまったら人間も飛び立てない。
野鴨たれ!
というお話でした。
子育てにも言えるのではないでしょうか?
親が、失敗しないように、と手伝ってあげてたりすると、子供は考えなくても「なんとかなるんだ」と思ってしまい、
創造力、決断力、頑張り、などが乏しくなってしまいがちです。
強く、頑張りが効き、生き抜く力を身につけていきたいものですね。