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『ゴリラに学ぶリーダーシップ』

京都大学総長の山際さんの本に、ニホンザルとゴリラの「リーダーシップの取り方の違い」について書かれていました。

 ニホンザルは、勝敗を決めて、弱い者が引き下がる。

 勝者がすべてを独占する。

 これは、「勝つ論理」です。

 

大学医学部の白い巨塔では、教授選挙で敗れた助教授は、去って行きます。

 山際先生が、かつて大学病院長をしていた時、たくさんの優秀な人材が教授選挙に負け、去って行き、

大変、残念な思いをしたそうです。 

 大学医学部というものは、ニホンザルの社会そのものだったのです。

 

 しかし、ゴリラのリーダーの決め方は、ニホンザルのそれとは、対極的なのです。

 力ずくで抑えるのではなく、他者をひきつける能力と、他者を許容する能力。

 つまり、勝ちを作らない。

 みんなで、こぞって負けそうな者を助ける。

 即ち、「負けない能力」です。

 どんなゴリラがリーダーになるのでしょうか?

 愛嬌?

 強さ?

 後ろ姿の格好良さ?

 ゴリラのオスは力があります。だけど、小さな子どもに優しく接することができる、愛嬌があるのです。

優しさを兼ね備えていないと、子どもたちはついてきてくれません。

 それから、運が良さそうに見えるというのも、おいしい食べ物を知っている、安全な場所を知っている、危険がせまっても自分たちを助けてくれる。

そんなことは、オスと出会ったばかりのメスには分かりません、過去は確かめようがないですからね。

だから運が良さそうな雰囲気、が大事になる。

 後は、後ろ姿で語れる。

ゴリラの場合、振り向いてしまうのは、自信のなさの現れなのです。だから後ろを振り向かない。

オレは後ろを振り向かなくてもお前たちがついて来ることは分かっている、というのがリーダーの態度なのです。

もちろん、障害がある子どものゴリラがいた場合は、後ろを振り向いて来るのを待ってあげます。

でも、普通は後ろを振り向かず、じっと背中を見せて佇んでいる。

そして、ついてきている気配がしたら、また歩き出す。背中で語るんですよ。それがゴリラのリーダーなのです。

 

 ちなみに、松下幸之助さんのリーダーシップ論も、ゴリラと同じだそうです。

 リーダーの素質というのは、「えこひいきをしない」ことだと思います。

 松下幸之助さんが、若い社員を面接する時に、将来的にリーダーに育つな、と思える人間には、3つの条件があると言っていたそうです。

 

ひとつは、「愛嬌がある」こと。

 次に、「運が良さそうに見える」こと。

それは、運が良かったという過去ではありません、運が良さそうに見える雰囲気です。

 そして、最後に、「後ろ姿で語れる」こと。

 

ゴリラのリーダーと同じです。

特に、ゴリラのオスのリーダーに当てはまる。

 人間も、このような人に魅力を感じ、尊敬の念を抱くのではないでしょうか。

 このようなリーダーがいる組織って素敵ですよね。

現代社会は勝つリーダーでなく、負けないリーダーを求めています。

人間の脳の方が優れているのですから、ゴリラに負けずに優れたリーダーを目指そうではありませんか。

 

 

 

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